Art2008_09

080909.jpgアネット・メサジェ / 聖と俗の使者たち

剥がされた痕に残るもの

六本木ヒルズ53階にある森アートミュージアムに寄リ道。そこでは"アネット・メサジェ"というフランスの女性アーティストの個展「聖と俗の使者たち」が開催されていたの。

どんな展覧会かしら・・・と思いながら、入り口を通過してすぐピポ子仰天!なんと天井一面に、ぬいぐるみの頭を付けられた鳥の剥製が・・・!!頭部は明るい笑顔の可愛いらしいぬいぐるみなのに体はリアルな鳥・・・ぬいぐるみの色合いがとてもポップで明るい分気味悪さ倍増で、とても重いものを感じたわ。

広い館内はアネット・ワールドが炸裂!"残りもの"というテーマの作品では様々なぬいぐるみの手や耳などが壁に貼られ、その中心には頭から腹を一直線にを裂かれ中の綿を出された大きなぬいぐるみの残骸が、手を繋いで4体並んでいたの。とにかくダイナミックで圧倒されたわ!まさに臓器を出した後の"残りもの"なのよ!ひえ〜・・・。

次に"つながったり分かれたり"という作品では、人間のようで人間でないような布を縫い合わせて作られた奇妙な形状の物体が、キィキィ音をたてながらオートメーションで上から下へと動いていたわ。その動きを見ているうちに、ピポ子「ああ、人間なんて単純で浅はかなんだな」という気分になっちゃった。きっとそれは布で出来た"生き物"達が同じ速度で操作されているのに、布の重みや形状の違いでそれぞれ勝手な動きをしていたせいかも・・・見ていると、布達に人格があるようでまたぞっとしてきたわ。

でも最も印象深かったのは、"寄宿者たち"シリーズよ!真っ暗な空間に然程大きくないガラスケースが3つあったんだけど、照明が当たっておらず見えないの。よく見てみようと近づいてショック!!そこには剥製の小鳥が一羽ずつ、手作りの可愛らしいニットを身に付け横たわっていたのよ。そしてタイトルは"休息"・・・その右下にあるガラスケースには小鳥の体にラジコンのような操作盤を付けたり、拷問のような事をさせている"玩具"(ごめんなさい、記憶違いかも)が・・・。

とにかく衝撃が大きくて、残りのひとつがどうだったか忘れちゃったわよ。この作品は一生忘れられない・・・。生まれて間もない無邪気な時代、人間はものを収集したり身体への関心を強く持つわよね。そして命の重みを理解せず、平気で残酷な事ををしてしまうわ。大人になってからもその感覚を持ち続ける厄介者もいるけれど・・・。

きっとアネットは誰の心の中にも存在する"負の部分"を、可愛らしいぬいぐるみや生き物を用いて表現したんでしょうね。彼女なりの皮肉が凄く心地良いわ。俗にまみれてしまった人間が聖なる時期を省みる時、初めて自分の心の奥深い部分を理解する事が出来る・・・そんなメッセージを投げ掛けてくれたアネットはやはり"使者"だったのかもしれない。

080919.jpgVOGUE / メンズ版

美しき男達へ

ファッション誌は殆ど美容院で目を通してしまうピポ子。でもこの度「VOGUE」のメンズ版「VOGUE HOMMES JAPAN」が創刊されたと聞き早速購入したわ。

女性とも見まごう美しい男性モデルが、和をイメージしたメイクとタトゥー、大振りのスカル・ネックレスを身に付けた表紙はまさに"ネオ・ジャポニズム"!背景のピンクが美しく、思わず手に取ってみたくなるわ。創刊号というだけあってとにかくボリューム満載!各ブランドがそれぞれの個性を主張し合いながらも"VOGUE"という大きな世界の中で見事なバランスを保ち、読み手を飽きさせないの。

女性誌の中でもマスト・アイテムのジレやフォークロア調のニットやレギンス等もお目見えしたけど、男性が着用すると凄く新鮮で別のアイテムのようよ。ピポ子が好きなジョン・ガリアーノやアレキサンダー・マックイーン、女性にはお馴染ののジル・サンダーやMARNI、BLAAK・・・挙げたらキリが無いけどどれもこれもラインが美しいわ。

しかも今季の春夏コレクションは全体的にタイトなラインでピポ子好み〜。特にリカルド・ティッシが初めて手掛けるジバンシィのコレクションでのショートパンツとレギンスの組み合わせは、ピポ子が欲しいくらいよ!それに今年の夏流行ったグラディエータースタイルの靴がメンズ流にアレンジされているのも恰好良いわ。

今度からメンズのお店も覗いてみようかしら・・・という気になっちゃう!どのページの写真も素晴らしくアート誌としてもクオリティが高いから、切り取って飾るも良いし、コラージュしても楽しいかも。男性だけでなく女性も楽しめる雑誌である事は間違いないわ。早速ガリアーノのショウで出てきたクモの巣フェイス・カバーを作ってみようかしら・・・ピピピ。ちなみに、このメンズヴォーグは年2回の刊行だそうよ。

imge359673ezik5zj.jpegStyle.com

最速モード情報

iPhoneで便利なのが続々リリースされるアプリケーションなんだけど、その中でも特にオススメなのが、ファッション向アプリの「Style.com」。

昔なら雑誌やテレビの"ファッション通信"等で各ファッションブランドのコレクションを楽しんだものだけど、今はその場で最新情報を得られるから便利よ!

"Vogue"や"GQ"の出版を行っている米大手出版会社のポータルサイト"Style.com"が、8月よりiTunesのApp Storeで無料でインストール出来るから得した気分!このアプリを入手すると世界の最新コレクションをスライドショーで見る事が出来るし、トップモデルやブランドのデータやランウェイショーの動画も見れるから実に便利だわ。

NY、ロンドン、ミラノと順次配信されるんだけど、しかも好きな時間に見逃す事なく楽しめるというのは重要よね。早速ピポ子のお気に入り"アナ・スイ"のコレクションを堪能したわ。画像がとにかく美しく、細部までよく見える見える!これだと雑誌いらずです、ハイ。

途中途中でスポンサーの広告が入るのだけど、これがまたお洒落で美しく飽きさせないのよ〜。雑誌はコレクション以外にも新規のブランドや小物など様々な情報が掲載されていて楽しいけど、重いしかさばるから買う機会が減っちゃった。でもこれからは指1本だから、肩が凝らなくてすむし部屋も片づくから一挙両得よ。

雑誌は美容院へ行った時の楽しみにしようっと・・・。出来たら大内順子さんのコーナーを是非設けて欲しいと思うのは、やはりピポ子がヤングな時見ていた"ファッション通信"の影響なんだろうか・・・。

080917.jpg山崎克巳 / 山崎克巳展

究極の神業

銀座の画廊がリニューアルオープンしたので、早速立ち寄ってみたの。丁度その時開催されていたのが「山崎克巳展」!

一見すると室内は暖かみのある版画一色で、なんともいえない懐かしい感じよ。大胆な画風にコミカルさがミックスしていて、よく見ればどの作品もニヤッとするものばかり・・・。

赤、黄、黒のみの色彩で表現されたシリーズの中で目に付いたのが『目白駅前図』という作品で、ISSUEを持って手を振る老人の横を通りすぎる高級車のマダムが描かれてるの。そして同シリーズの『人間磁石』という作品では頑丈そうな体つきの母親が子供を磁石で引っ張っていたわ。どちらにも共通して表現されているのは"力関係"なのね!人物の表情が明るいから陰鬱な印象になってないの。

その他にも目を引く作品は沢山あったけど、モノクロでA3サイズのシリーズもなかなか良い感じよ。どうやら山崎氏は猫がお好きらしく、所々に猫を発見。『猫嫌い』という作品では、ランニング姿の頑固オヤジが猫を玄関に投げつけ猫が逃げる様を描いており、今展覧会のメインと思われる『猫の出前』はおかち持ちの真似をして猫を担ぐ青年が生き生きと描かれてるわ。

どの作品も昭和の古き良き時代をそのままパッケージングしたようで、リアルタイムで当時を知らないピポ子でさえ懐かしさを感じたの。それに大胆な彫刻刀使いが凄く味を出してる・・・と思いきや、説明をして下さった女性によればこの作品は全て木版画では無く、厚さ2ミリのケント紙を彫刻刀で彫ったというのだからビックリ仰天!!

紙をこんなに大胆に削ってるのに穴さえ開いてない・・・まさに神業・・・いや"紙技"ね!紙というものがここまで削られ、しかも薄くなっても丸まらずにいてくれるものなのかと、山崎氏の躾ぶりにただただ感心させられっ放しでありました〜。ピポ子も挑戦・・・ウエッ、もう指切った・・・。

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2008 9
アネット・メサジェ / 聖と俗の使者たち
VOGUE / メンズ版
Style.com / App Soft
山崎克巳 / 山崎克巳展

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