Music 2009 04

OnceNightwish

Once

フィニッシュメタルのフラッグシップと言えばNightwishだけど、丁度再発された2004年の「Once」。これは驚きの一言ね!歌姫ターヤが在籍中の最後のアルバムだわ。単にシンフォニックとメタルの融合と表現してしまうのは間違いね。元々、メタル系とクラッシック系は音楽理論的にも親戚関係のようなものだから、ファンもメタル好きはクラシック好きという場合が多いのよ。だから融合じゃなくて、再会と言うべきかしら。

でも、ここで課題が発生するのよ!それは原盤制作費。大編成のオケーストラを起用すれば当然、お金もかかるし時間もかかる。この「Once」も4.000万円以上かけてるわ。でもそれを恐れず、妥協せず、全てをかけて挑む。結果として大成功し、何と2007年の次作「Dark Passion Play」では倍の8.000万円以上をつぎ込み更なる成功を収めたわ。彼らもここまで来るのに様々な葛藤や苦労があったでしょうね・・・。

「Once」の素晴らしさは、そのアルバムコンセプトが完全な楽曲構成で綴られてる事かしら。「Once=かつて私の見た夢」から物語は始まり、闇をさまよい、天使を望むも、偽善的な地獄の世界、追い立てられ傷つき、魂は休息を求め、ある愛に救われ解放されて行く・・・。この展開を楽曲的に緊張感と瞬時な解放感のある音画的手法でアレンジし、情感豊かなターヤの調べとマルコの破壊的ヴォーカルが聴く者を虜にするわ。

シンフォニックメタル系は最近多くなってきたけど、彼らは別格ね。というか、彼らが居たからこの分野が盛上ってきたと言っても間違いないわ。そして、音楽文化として彼らを支えるフィンランド!なんて素晴らしい国なのでしょうか!行ってやる・・・!!

--Nightwish日本語ファンサイト-
www.nightwish.jp

メタリカメタリカ

シンフォニー&メタリカ


オーケストラとロックバンドの共演というのはあまり珍しくはない事よね。幾つか聴いてきた中で思う事は、2つのパターンに分かれるという事かしら。

大仰になりすぎて本来の味わいを失うパターンと世界観が更に深まるパターンね。

1999年に発表されたメタリカとサンフランシスコ交響楽団のライブアルバム「シンフォニー&メタリカ」は見事に後者のパターンだったわ!

もともとメタリカはボトムの部分が揺るぎない程安定しているから、何を被せようが足そうが問題ない。でも変にキーボードを軽々しく載せようものなら”彼らの音”から排除されてしまう。その点オーケストラの重厚さはメタリカの芯の部分を更に濃厚にするだけでなく、天高くその世界観を広げていたわ。満を持して作られたアルバムというべきか・・・これ程までにしっくり来るというのは凄いというより逆に恐ろしいわよ!

メタリカはドラムとボーカルだけでも充分に成り立っているバンドだから、絵で言うと墨で一筆書きして充分なのだけど、オーケストラはその上に朱をまぶし大胆でかつ繊細な色合いを出したとでも言うべきかしらね。

特に素晴らしかったのは名曲「Fuel」!!ジェイムスのたたみかける冒頭のボーカルが印象的だけど、援護射撃してくるこの音の厚みは一体何なんだ!?こういうアレンジってどうやったら考えつくの!?演奏している人達ひとりひとりの表情が見えてくるような緊迫感と高揚感・・・あぁ、音ってやっぱり命があるんだと改めて思い知らされる瞬間が何度も訪れてきたわ。

しかしこれだけの音を従える事の出来る”歌王ジェイムス”の存在無くしてはこのアルバムの成功は無かったでしょうね。この曲を歌い終わった後のMCで彼が満足気に発する言葉は、大国を敵から守り抜いた偉大なる王の安堵のように聞こえるわ。2枚組のライブ盤というこのボリューム・・・いやぁ完敗です!

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2009 4
Nightwish / Once
メタリカ / S&M

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