Music 2009_05

エリカ・バドゥエリカ・バドゥ

NEW AMERYKAH  PART ONE

エリカ・バドゥ・・・HIP HOPやR&B好きな人の中で絶大な人気があるシンガーだわ。

実は今まで彼女の歌声に深く触れたことはなかったし、アフリカンなファッションのジャケットが印象的なアーティストだな・・・位の認識しかなかったの。でも2008年に発表されたアルバム「NEW AMERYKAH  PART ONE」を聴いて印象は一変!

うっわっ、前半ガッツリファンキー、時々トロ〜リソウルのちカツカツR&Bという感じの品揃え。とにかく格好良うございます。邦題の「第4次世界大戦」というタイトルが粋だし、何よりもこのジャケット!中央に位置するエリカのアフロの中にはお金やら武器やらアメリカを体現する要素が満載で、70年代っぽいテイストがとってもアートよ。

残念ながら対訳がないので彼女の意図する部分を読み取るには時間が掛かるけど、強いメッセージが腹底に響いてくるわ。ピポ子はこういったリズムトラックやサンプリングにボーカルを乗せるという作業はあまり経験がないけど、"生ものとしての声"を表現するにはもってこいの手段だと思うの。エリカは見事に生ものを活かしきっているし、こういうアルバムに後半ありがちな"ダラダラ感"を全く感じさせないから恐ろしいわ。

洋服屋さんでのお洒落BGMというにはややとんがっているし、バーで聴くには迂闊に酔えそうで酔えない展開もあったりして、一貫性がありながら"只ではスルーさせないわよ"的含みがあるのが面白い!デザイン的にも素晴らしいからLPレコードで欲しい1枚かな。さて・・・ここで一句。張らずとも心に残る歌声か。

フィンランドメタルコルピクラーニ / 森界の王
アンベリアン・ドーン / リヴァー・オヴ・トゥオニ

またまたフィンランド発のアーティストのアルバムが2枚届いたわ!

1枚目がコルピクラーニと言うアーティスト名の2008年作品で「森界の王」・・・それがまぁ~何と表現するべきか・・・、新たなカテゴリーとして”森メタル”とか”フォークメタル”とか・・・何それと興味津々で聴いて見ると、なるほど”森”なんだと納得してしまったわ。

一瞬、ゴシックメタル風のヴォーカルかと思ったのだけど、それは大きな間違い!アルバムを半分ほど試聴すると妙に喉が渇いていたの・・・そう!その欲求はビヤホールそのものなのよ。それも年季のはいった丸太小屋で、銀食器のビアカップに溢れんばかりに注がれたイメージ。それを早く飲め飲めと急かされてるようだわ。

音色はメタルと言ってもギターが歪んでるだけで、その他のパートはうるさい生楽器なの。勿論、ソロは電気ギターではなくてアコーディオン。どうやらこのアコーディオンがメインらしい・・・面白いのがこのアコーディオンのダブリング。ナチュラルな根音の和音(変な表現??)が素朴感を醸し出してるわ。

タイトルも独特で、『流狼の丸太乗り』『我が祖先』『狼のヨイク』等々、最後の20分の楽曲はついにフォークメタルの組曲かと思いきや、15分間ただドン・ドンと大太鼓を叩いてるだけ・・・恐ろしい!!何も展開がない!!でもこれが彼らの味なのかしらね・・・。

そして、2枚目はターヤ・チルドレンとでも言うべきソプラノ・メタルヴォイス。アンベリアン・ドーンと言うアーティストのデヴューアルバムで「リヴァー・オヴ・トゥオニ」。ターヤの成功を受けて色々な人達が出てきたわ。彼女の魅力はメゾ・ソプラノに独特の骨格的響きと情感のこもった優しさ溢れる艶が特徴だけど、ドーンは純粋にソプラノのようね。

特にこれといった特色もなくてメタル系のリフに綺麗にかぶさる感じで、心にまでは響かないのが残念ね。オケも声と分離していて一生懸命やってみたけど魂まで込められなかった・・・って印象よ。でも、ターヤに触発されてるのは本当に良く分かるわ。でも次作からは別の方向性を見いだして、ドーンサウンドを聴かせて欲しいなぁ。

どちらのアルバムも特にオススメと言う訳ではないけど、純粋に楽しいのよね。特に森メタルはストレートで本当に獣臭い森の香りがしてくるし。それぞれがオリジンを表現しているのが凄いわね~。最近はファッション雑誌でも、森にいそうなファッションをした"森ガール"が特集を組まれているし・・・森の向こうはなにやら楽しそうね!!

Music Review

2009 5
エリカ・バドゥ / NEW AMERYKAH PART ONE
コルピクラーニ / 森界の王
アンベリアン・ドーン / リヴァー・オヴ・トゥオニ

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