Movie2008_12

081231.jpg「ラスベガスをぶっつぶせ!」

一獲千金、本当に得るものは・・・

この所ラスベガス絡みの邦題がついた映画が多いわね。その中でも興味を引かれたのは「21」。邦題では「ラスベガスをぶっつぶせ!」よ。キャメロン・ディアスの主演の方じゃないわよ。

マサチューセッツ工科大学に通うベンは、ハーバード大学医学部進学には充分の成績優秀者。ただ30万ドルの学費を捻出出来ず頭を悩ませていた所、教授から秘密の研究チームに誘われるの。そこではカードカウンティングを習得させ、ラスベガスで大金を稼ぐ為の訓練が行われていたというからビックリ。最初は怯えていたベンも、次第に大金を稼ぎ出す快感を覚えてゆき・・・という内容なのよ。

ストーリーが進むにつれ深読みをしてしまったのだけど、最終的には納まる所に納まってすっきりしたわ。『アメリカン・ビューティ』で主演していたケヴィン・スペイシーが教授役と製作を務めていたのだけど、その存在なくしてはこの作品は語れないかもね。いや~気付かないほどの別人ぶりに驚かされました。

人間はお金を手にすると変わる・・・とよく言われるけど、この映画を見ていると本当にそうだと確信出来るわ。そして易々と手に入れたものは瞬間光り輝くけどひどく脆いものであるという事も、自分の事のようにじわじわ伝わってきたわよ。

劇中でカジノの用心棒が、デジタル防犯機器に押され自分達の仕事が激減して行くとぼやくシーンがあるのだけど、ベン達の行動を見抜き、経験を積んだ人間の目の方が確かだとオーナーに証明するの。とどのつまり、何をするにも人間のアナログな努力が一番確実だという事なのよね。

積み重ねてきた事はやがて自信になり、自信は次の飛躍へ導いてくれるもの!でも、お金は天下の回り物・・・コツコツ積み重ねた後、たまにはルーレットで回してみる遊び心も必要なんじゃないかしら?そうしたら日本経済も活気を取り戻すかもね。

081227.jpg「Mrレディ Mrマダム」

愛多き世界に優しさが宿る

1996年映画「バードゲージ」を見た時、そのテンポ良いストーリーと俳優陣の演技力に魅せられたので、1978年に発表されたこの作品のオリジナルである「MrレディMrマダム」を見てみたの。
いや~とにかくほどよく湿度があってほどよく乾いてる・・・という印象を受けたわ。「バード・・・」では全体的にとことんコミカルに仕上がっていたけど、オリジナルはやや陰鬱なフランスの香りがして心憎い感じなのよ。

ストーリーはフランスを舞台にゲイ・クラブを経営する男とその店の"歌姫"である男が夫婦同然に暮らしているの。ある日離れて暮らしていたクラブ・オーナーの息子が、自分の将来の花嫁とその両親を会わせたいと言い出したから大騒ぎ。愛する息子のために父も歌姫も真実を隠そうと努力するけど、その努力はむなしく終わる・・・という内容なんだけど、歌姫役のミシェル・セローは絶品!

「バード・・・」でネイサン・レインが演じていた歌姫は常に可愛らしい"少女"の様な面影が宿っていたけど、ミシェルは"中年女性"の悲哀が滲み出ていて好感が持てたわ。女性として素直に感銘を受けたのよね・・・そう言う意味合いではオリジナルは強かった!強烈なキャラクターが色々出てくるけど、記憶に残るのもやはりオリジナルの方なのよね・・・。

作品のリバイバルって、時間を置いたとしても切り口を変えたり色合いを変えないと本当に難しいと痛感。この作品に関してはどちらもどちらの良さがあるから素敵だけど、作る側からすればドキドキものかもしれないわね。表現方法って色々あるし人や環境によって無限の可能性が広がるけど、オリジナルの芯の部分は変えられないから、そこが戦いになってくるわよね。

ピポ子も絵を描くとき、最初納得のいく仕上がりの作品が出来てしまうと、次に同じものを描かなくてはいけない状況の際、凄く苦しむからその感覚に近いのかも・・・。ここで一句。「オリジナル超えてそこには新世界」頑張らなきゃ・・・。

081220.jpg「ペテン師と詐欺師、だまされてリビエラ」

ダンディズムとは・・・

小気味よいコメディ映画といえば、1988年の傑作作品「ペテン師と詐欺師、だまされてリビエラ」かしら!
南仏の高級リゾート地コートダジュールの小さな街を舞台に、地元に根付いたダンディな詐欺師と風来坊の詐欺師が出会いある賭けをするのよ。どちらが大資産家の女相続人から先に5万ドル搾取出来るか、負けた方はこの土地を去るという条件付きでね。

あの手この手を使いどんでん返しを繰り返す2人・・・ダンディ達は、詐欺師としての独自の哲学を貫きスマートにそして粋に女性を騙すけど、風来坊は若さ故の勢いでどんどん攻めて行くの。若く美しい女相続人の優しさに好意を持ったダンディは、風来坊が巻き上げた5万ドルを自分が都合して彼女を故郷に帰したのだけど、事実は全く異なっていた・・・という実に良く出来たストーリーなのよ。

マイケル・ケイン演じるダンディ詐欺師は、立ち居振る舞いが本当にエレガントでハマり役だし、映画「ノボケイン」でシリアスな歯科医を演じた、スティーヴ・マーティンの陽気な風来坊ぶりも最高!爽快さと程良い甘さがミックスされた大人の作品と言う感じかしら。

そういえば最近、この映画のような"ダンディな男性"って少なくなった気がするわ。容姿や仕草などの表面的な事だけではなく、考え方や生き方に男気を感じないのよね~。女性に選択をゆだねていながら実は自分が誘導し、スマートに物事を進めつつ、ここぞという時にドン!と押す・・・しかも言葉は少ない。これこそ"ダンディ"よ!

劇中でどんな困難に遭遇しても嵐をやり過ごし機が熟した所で行動するマイケル詐欺師は、まさに理想のダンディ。結果として可愛い女性に騙されてしまったけど、取り乱す事なく明るく笑う姿になんともいえない男気を感じたわ~。ううむ、恰好良い!

男女の仲は騙し騙され紡ぐもの・・・なんて昔から言うけど、結局は自分の心に嘘はつけないものなのよね。クリスマス直前、突然素敵な異性が近づいてきたらあなたは警戒する?ダンディなら、ピポ子は・・・ピピピ。

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2008 12
ラスベガスをぶっつぶせ!
Mrレディ Mrマダム
ペテン師と詐欺師、だまされてリビエラ

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