Movie2009_05

スタートレックSTAR TREK

原点回帰

「STAR TREK」の劇場最新作の完成披露試写が行われたので早速見てきたわ。

世界中のトレッキーと呼ばれる人達のようにこの世界に詳しくないので、USACOスタッフからの受売りでレヴューするわね。うちのスタッフ、実はスタトレのTVシリーズ「DS9」「ヴォイジャー」の制作に関わっていたので裏事情も交えてみちゃうわね!

ピポ子は最初のTVシリーズは見た事が無いし、過去10作品ある劇場版も知らないので白紙の状態で今作を見た訳なんだけど、若く、血走ったヤングアダルト大活劇って感じだったわね。カットカットにファンだったらツボなんだろうなと思われる部分もあったわ。と、ここからはスタッフからの受売りね。

1966年TVシリーズがスタートして以来、40年以上の歴史があり、過去劇場用として10作品のリリース歴があるのが「STAR TREK」なんです。故ロッテンベリーが生み出した世界観を色々な人達が引き継ぎ構築された神話的な物語で、実は最初のTVシリーズ終了後からブレイクし数年後に映画化され、後に「新スタートレック」、スピンオフした「Deep Space 9」「ヴォイジャー」等、大好評を得、その間にも劇場用と制作され近年では時代をさかのぼった「エンタープライズ」がありました。残念ながら近年の「エンタープライズ」は脚本的な部分やスタッフの問題もあって数字を出せず第四シーズンで打切りとなり、企画はあるもののコンスタントだった映画も一端白紙に戻されていました。そこで、プロデューサー陣を刷新して新規スタート。TV界で新機軸を打出していたJJエイブラムスを監督(実質的な制作総指揮)として企画が始まりました。

この時点では、新しいスタートレック映画はいつを描くかは全く未定だったのですが、エイブラムスはあえて原点に立ち返ったようです。

歴史がある作品はその長さと比例するように多岐に渡る物語が存在しています。その整合性を崩す事は勿論出来ません。してしまえば熱狂的なトレッキーから怒りをかってしまうからです。そこで、リサーチチームが編成されトレッキー達の知識を借りながら綿密な脚本を練っていく訳なんですね。多分、今回のエイブラムスも同様の手法をとった事でしょう。そして原点に戻った本作では、最初のTVシリーズの主人公を元に、あの性格だったらきっと若い時にこんな行動を取るだろうと仮定しながら脚本を仕上げる、リ・イマジネーション方式で物語を組み立てたとの事です。

さて、リ・イマジネーションされた「STAR TREK」。これはまさしくMr.スポックとカークの黎明期をハイテンポで描いた作品で、過去の映画とはテイストが明らかに違います。と言うのも、過去の映画はTVシリーズ終了後にその後を映画化のパターンだったので、俳優陣が高齢の域に入っている事で、どうしてもスローな展開が多く、まして2時間内に起承転結させないといけないという制作上のジレンマがありました。それを感じてか、トレッキー達は映画はお祭りイベントのようなもので本流ではないと優しく見守ってくれました。

ですが、今回はフレッシュ、採れたてモギタテの俳優陣ですから新鮮さ満載となりました。元々最初のTVシリーズの根底にあった楽天主義とテクノロジーへの希望を更にブラッシュアップした感じです。カークとスポックは一見、相反する性格のようですが、本質的には同じなので、人間の二面性を極端にデフォルメしたキャラクターになっていて、若返った事でそれがより強調されています。そして、過去のスタートレックと橋渡し役でアノ人物が登場しますがネタバレになるのでお楽しみに。

物語ですから、強敵(今回はロミュラン人)もいるのですが、カークとスポックを語る上での存在なので単純なバトル系ではなく、全ての情景がカークとスポックの対比の背景と言っていいでしょう。

必ずPRコメントとして、「スタートレックを知らない方でも楽しめます・・・」とありますが、これには若干無理があるような気がします。本作は、2作目の映画「カーンの逆襲」にある”コバヤシ丸の話”を知らないと理解しにくい場面も多く、ヴァルカン人の特質や初代艦長パイクの謎、全身緑の女性、スールーのフェンシング等、あらゆる場面に埋込んであるので何も知らないと、本当の意味では楽しめません。

ヴィジュアル的にはILMが過去の映画シリーズの特殊効果だけを再編集して今回に活かした事もあって、それは素晴らしい仕上がりになっています。「2001年宇宙の旅」的に光りのディテールによる感情表現の演出が印象的で広い空間の描写に成功していますし、ヴィジュアル技術の進化で一層スタートレックの世界観を体感出来る事で新たなファン層を獲得するでしょう。

迷ったら原点に返る・・・リスクも多いですが今回は良い感じに再スタートできています。時代と共にある「STAR TREK」の新たなる歴史の始まりと言ってもいいかもしれません。情報によれば、既に次作の企画が上がっている様ですから続編も期待出来ますね。

以上、スタッフからの受売りでした・・・。ピポ子的にはスポックの髪型が昔からお気に入りよ! 実は一度試した事があるのよ・・・ふふっ。公開は5/29から。是非、劇場でご覧下さいな。長寿と繁栄を!!

「スタートレック公式サイト」
http://www.startrekmovie.com/intl/jp/

WALLEWALL・ E

エコロジーな心

公開当時から気になって仕方がなかった映画「WALL・ E」・・・「カーズ」のJ・ラセター制作総指揮によるPIXER最新作という事で期待はしていたけど、思わず感涙してしまったほどの素晴らしさよ!

時は29世紀、ゴミ溜めと化してしまった地球をひとりぼっちで掃除するロボット"ウォーリー"。彼は人間が捨てた大昔の雑貨や音楽を愛する情緒豊かなロボットなの。そんなある日突如として現れた巨大な宇宙船の中から、探査の使命を受けた最新型ロボット"イブ"が現れたわ。

ウォーリーはイヴに恋してしまい、自分の宝物である植物を彼女に見せたのよ。その植物を見たイヴは急にフリーズしてしまい、再び宇宙船が彼女を連れて行ってしまったの。ウォーリーは彼女を追って地球を飛び出し・・・というストーリー。

エコロジー、自然や健康についての原点回帰だけでなく、人の"心のあり方"の原点を見事に表現していたわ。毎回感心させられる細かい描写は勿論だけど、登場人物がロボットで台詞らしい台詞も殆ど無いというのに、どの子も個性豊かでちょっとした心の変化までが巧みに描かれているのには参った!

単純な指のパーツが恥じらいながら動く様、怒りから困惑するライトで表現される目、寝ぼけて足のローラーを落とす様子・・・挙げたらきりがないけど、制作側がどれほどこのキャラクター達を愛しているかガンガン伝わってくるの。

しかもウォーリーが起動するときはmacの起動音と同じという遊び心も忘れていない。宇宙船の中で優雅に暮らす人間達は全員おデブさんという設定もなかなか皮肉たっぷりで面白いし、故障中のロボットを集めた修理室ではストレスに冒されてしまったロボットが登場したりして、まさに現代の縮図と言った具合ね。「2001年宇宙の旅」もしっかりとオマージュされていているのも素敵。

見終わった時にはどの子も可愛くて可愛くて、久々に心の奥から込み上げる感情を抑えきれなかったわ。機械なのに・・・ここまで表現出来てしまうのか・・・思い起こせばPIXERの制作スタッフは昔からCGの無機質的な質感にどうやって情感を表現するかを熱心に研究していたわ。出来てしまえば当り前だけど、そこまでの苦労が個人的には感じられるわね。いつものようにエンディングも凝ってるけど、ピーター・ガブリエルの歌声がバッチリはまりすぎてます!

感動って、人間のギザギザした部分を取り除いてくれるのね。

米では昔からアニメは子供の見る物と割切ったマーケティングがあったけど、日本アニメ市場の研究やアメコミ作品の映画化の成功等でマーケティング戦略も変わったわ。PIXERもディズニーに買収されたらディズニー色が入り込むのではではと一部では心配されていたけど大丈夫そうね。

それよりも、出涸らしの日本のコンテンツ業界!!このままでいいのだろうか?

北斗の拳OVA北斗の拳 / OVAシリーズ

愛で空が落ちてきた・・・

「北斗の拳」は言わずと知れた週刊少年ジャンプで連載されていた長編大作だわ。1800年に渡り一子相伝の掟のもと受け継がれてきた"北斗神拳"を巡り、その伝承者ケンシロウ、兄ラオウ、トキの3兄弟を中心に、男達の壮絶なる戦いと愛が世紀末の世界を舞台に描かれた作品よ。

TVシリーズ放映時初期は見ていたけど、原作のクオリティーを求めてしまい結局最後まで見るに至らなかったの。でも去年、長い時間を経て劇場版とOVAで5部作発表されたと聞き一気に鑑賞したわ!

この"真救世主伝説シリーズ"は『ラオウ伝/殉愛の章』、『ユリア伝』、『ラオウ伝/激闘の章』、『トキ伝』、『ケンシロウ伝』と原作に隠されたエピソードを盛り込んだストーリーよ。作画は原作のテイストを充分活かしてはいるけど、ストーリーの詰めが甘い・・。

要の声優陣もケンシロウ役の阿部寛さん以外力量不足が目立ち、本家声優陣に押され気味だったのが残念。でも内容的には、ケンシロウの兄であるラオウの非情さに隠された悲しみが良く描かれていて良かったわ。ただ、彼の幼少時代の描写があまりにも作りすぎて許せないものがあったけど・・・。各巻で登場するサブキャラは原作のように人物の背景が作り込まれていないせいか、どれも取って付けたよな軽い仕上がりになっていたのも残念。

ゼロという究極の世界で人間達は権力や支配を求める・・・でも、その先にあるものは"愛"なのよね。その象徴がケンシロウの恋人"ユリア"なんだけど、彼女は慈悲に満ちた母性愛で北斗最強の男達を包み込んでいるの。彼らが何故ユリアを欲し、彼女が何故存在したのかという事がこのシリーズで良く理解できたわよ。

もともと作品のテーマがきちんと打ち立てられているので違和感を感じながらも楽しめたわ。その後、ハリウッド実写版も見比べてみたけど酷評されているほどではないかな、という感想ね。東洋に対する認識に違和感を感じるのは仕方ないし、ストーリー的におかしいと思う点もあれどご愛敬!ってところかしら。

原作自体、張りつめた重苦しい部分とコミカルな部分がうまく融合出来ているというのも魅力のひとつだしね。しかしながら、原作のクオリティーが高いと映像化するのに苦労するのは確かだわ。初期のテレビシリーズは音楽も声優陣も最高だけど作画で今一つ。新作は作画以外は全て中途半端・・。では、現代の技術で再度いいとこ取りで作ってみてはいかがかしら?

再度"北斗ファンド"を募り、北斗を愛するファン視点で制作してほしいと思っているのはピポ子だけではないはず・・。

アイアンマンアイアンマン

ガンダム世代驚嘆!

数々の名マシンの合体や攻撃シーンをテレビの前でドキドキしながら見ていた幼少時代・・・。そんなピポ子がどうしても見たかった「アイアンマン」。

主演が鬼才ロバート・ダウニーJrとくれば面白くないはずがない!期待通りの完成度と後味の良さだったわ。物語は、軍事企業のCEOであり天才発明家のロバート演じるトニーが、新作武器のプレゼンテーションで訪れたアフガンで武装集団に拉致され、命と引き替えに兵器開発を強要されるの。

彼は同じく拉致されていた医師と協力し合い、兵器を開発する振りをして脱出用パワードスーツを開発し脱出に成功。帰国後、トニーは兵器が人間の人生を狂わすと悟り軍事産業から撤退を表明するのだけど、武装集団が猛威を振るっているのを見て、彼らに立ち向かうべく新型パワードスーツの開発を始めるの。その背後で大きな陰謀が渦巻いているのを知らずに・・というストーリーなのよ。

原作がアメコミなので独特の香りがしてくるかな・・・と思いきや、誇張されてる部分も鼻につくフィクション感も全くなく非常に素晴らしいわ!役者の表現力もさることながら、パワードスーツ開発から完成までの細やかな描写、初陣からラストまでの戦闘での動きはヨダレものよ。

懐かしいところでは「亜空大作戦スラングル」など国際映画社の作品や「ガンダム」を見ていた人達にとってはたまらないメカ・シーンが満載!日本のメカ・アニメを実写で表現したらこうなるに違いないと確信したけど、もう先にやられてしまいました・・。

最近アメコミ原作の作品が映画化されてるけど、どれもテーマがズーンと響いてくるものばかり。"勧善懲悪"がテーマではあるけど、それは対"外敵"なのではなく、己の心の中、人間社会に於いてであるので凄く深いわ。

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