Art2008_03

img28ad9c5azik2zj.jpegHRギーガー / 画集

淫靡という名の愛情

今でこそ「ELP」のジャケットや「エイリアン」のデザインで有名過ぎるほど有名な画家"HRギーガー"・・・ピポ子が初めて10代の時お小遣いを貯めて買ったのが彼の画集よ!

ピポ子はギーガーの情報は何一つ知らなかったのだけど、偶然目にした彼の絵を見て恐ろしいほどの衝撃を受けたのがきっかけなの。メタリックな質感の中に生々しい淫靡さ・・・そしてその美しさといったら!これほどまでの確固たるオリジナリティを突きつけられては、手も足も出ないわ。ものを作る人間に対して警告していると言っていい!

彼の作品には欠かせないガールフレンド、リーをモチーフにしたイラストはため息もの。彼女の両頬から剥き出しになった金属・・・そのストレートとラウンドした線が一体した美しさにはどんな宝石やメイクもかなわない。いわば究極の美ね!!

ギーガーは人間のパーツを愛し、特に母体に関しての執着は凄まじいと思うの。生命が生まれてくる事の神秘、メカニズム・・・それにより生まれてくる畏怖、敬意・・・人間が量産されるのは機械的に見えるけど、それはとてつもなく暖かみのある事だと思うわ。だから彼は曲線だらけの赤い肉塊を描くのかも。

メタリックでSF的な雰囲気をもつ作品はいくらでもあるけど、ここまで見る者を虜にしてしまうものは皆無ね。きっとギーガーのドクドクと波打つ鼓動と温度を背景に感じるからなのかもしれない。昔、白金に"ギーガーズ・バー"というギーガーの描く世界がそのまま表現された空間があると知り、親にせがんで連れていってもらおうとしたけどピポママに却下されたわ。

お酒が飲める年になりやっとの思いで行った時には・・・閉店してたの。

凄く残念だったけど後で聞いた話によると、その店はギーガーの哲学よりもビジュアル的なものにこだわり過ぎていたのと、バーというより入り口でチケット販売機で券を購入して入る様なクラブだったらしいわ・・・。

やはり上辺だけなぞっても何事も長続きしないものなのね。今後の目標はスイスのギーガーミュージアムとバーに行って、ギーガー家具を入手してやる!!その為にも今日もお仕事・・・お仕事・・・。

img4122d0eezik2zj.jpegヘンリー・ダーガー / ヴィヴィアンガールズの物語

非現実王国、生涯を賭けた妄想

1973年シカゴである老人が亡くなったの・・・名前はヘンリー・ダーガー。

彼が残したものは、1万5千ページに及ぶ長編小説と数百点もの絵画というとてつもないものだったんですって。身寄りは無く半生を過ごしたアパートの大家が唯一の知人で、皿洗いや掃除の仕事をする以外ずっと創作を続けていたそうよ。

死後は作品を破棄するようにというメモ書きがあったそうなのだけど、作品のあまりの素晴らしさに公開する事にしたんですって。

小説のタイトルは「非現実の王国における、ヴィヴィアンガールズの物語」"アンジェリニアン"という子供たちの王国と、その王国を侵略する子供奴隷制度を持つ"グランデコ"、そのグランデコに立ち向かう7人の無垢な乙女"ヴィヴィアンガールズ"の壮絶な戦いの記録なの。

メルヘンというにはあまりにも血なまぐさく、描かれている少女たちは皆小さな男性器が付いているという独創ぶり!公開された絵を見ると一見西洋の宗教画の様でも有り、ロートレックの様でもあるし、東洋の仏教画の様な色合いにも見受けられるわ。

ダーガーは気に入った人物の写真を切り抜き、それをトレースしオリジナルキャラを描いていたから、その時その時のインスピレーションで多少変化していったのかも。死ぬまで誰に知られる事なく、ただただ自分の思い描く"王国"を紙上に築いたダーカー・・・彼がこの世に生を受けたのはこの作品を生み出す為だったのかもしれないわね。

ピポ子も残りの時間をかけてどれだけの王国を築く事が出来るかしら・・・ハァァ。

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2008 3
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